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かみ合わせ
2025年6月17日
長期間の食いしばりや片噛みにより食事が上手くできない症例
・67歳女性
・「食事が上手くできない」「左の頬粘膜を噛みやすい」状態
・普段から全体的に歯がしみる・開口時に左側顎関節に雑音あり
・昼夜逆転の生活になっている
・もともと左噛みの癖があり、食いしばりと歯ぎしりも長期間に渡って行われていたと考えられます。
・前歯にインプラントがあり欠損はない状態です
治療方針
●導入剤(デパス錠0.5mg)を処方しています。
→夜間の食いしばりや筋緊張の緩和を期待して処方しています。
●昼夜逆転になっているので生活リズムを整えることを意識してもらっています。
●マウスピースを食事時以外(24時間)装着し、マウスピースの咬合治療を3ヶ月~半年を目途に水平的な顎のズレを補正します。
顎関節CT画像の矢状断面
・右側のCT画像より、関節窩と関節結節がフラットになって高低差があまりない、かつ関節突起の前面が鳥のくちばしのように骨棘ができているのがわかります。
こちらの画像より常に食事時、また夜間の歯ぎしりが全て左側で咀嚼しているのが疑われます。それは下顎骨体を左へ動かそうとしたときに右の関節が内包に動かないと左で噛めないので、このような変形具合から長期に渡る左噛みの癖があると考えられました。
・向かって左側の矢状面のCT画像より、
関節頭の前縁が球状ではなく、フラットかつ関節空隙(関節窩と関節頭の間の隙間)が白濁している様子が見受けられます。
これは関節腔内の軟組織が繊維化を起こし炎症反応が起こっているためと思われます。
顎関節CT画像の前頭断面
左右共に顎関節空隙が狭窄し関節窩に直接圧がかかる関節頭の変形を認めます
本来関節頭は上に凸の卵型が正常な形です。
・右側のCT画像を見ると関節頭上縁が平らになっているので、長期に渡って異常な力が掛かったために現在の平らな形に変形したと思われます。
・向かって左側のCT画像では、関節内部に黒い陰影を認め左側の関節が外側に動くことによって、関節窩の外側の凸面に関節頭が長期に渡って異常な力で当たるので、関節頭の内部の骨が吸収を起こし、空洞化しているのが見受けられます。
マウスピースを装着して両側の関節と筋肉に負荷を掛けないようにするために、数ヶ月にわたるマウスピースの装着を行っております。
そして、マウスピースで弛緩した筋肉での噛み合わせの位置で、上下の歯の接触を模型上で調べてから、最終治療の治療計画を立てて行きます。